ROTELの歴史

下記に紹介するROTELの物語はROTEL社の原文とROTEL社から教えて頂いた当時の状況を交えてのご紹介になります。ROTEL社の原文とは異なるところもありますので、ご理解をお願いします。

TOMOKI TACHIKAWA

Rotelの創業者であるTomoki "Tac" Tachikawa氏は、台湾生まれです。彼は日本に留学し、その後日本に定住し、さまざまなビジネスや商社を立ち上げた後、ローテルを設立しました。

ローテルの伝統の始まり

ローテル(旧称ローランド電子工業株式会社)の起源は、米国製のシルバニアテレビを日本全国に販売する契約にさかのぼります。これは1950年代初頭のことで、ソニー、パナソニック、東芝などのブランドが日本製のセットを成長させる前のことです。当時の流通にはサービスが必要であり、日本は米国とは異なる交流電圧を使用しているため、販売権はシルバニアの製品を現地の要求に合わせて改造する必要もありました。そのため、エンジニアリングは私たちの取り組みの初期の焦点となりました。

1961年に再編成され、テレビ配信事業から撤退したときに、高品質のオーディオコンポーネントのビルダーとして世界的に有名になる旅を始めました。1960年代には、オーディオ製品のOEM(相手先ブランド製造)の設計と組み立てが主力となりました。

ハーマンカードンを始め１０数社のOEMを担当しました。

しかし、自社ブランド名で製品の設計と販売に力を入れました。同社の称賛の顕著な例は、1973年にConsumer ReportsがRX-402レシーバーを待望の「Best Buy」評価で飾ったときでした。CRが知らなかったこと、そして明らかに知らなかったのは、2人の準優勝者も、異なるブランド名で販売されていたにもかかわらず、同じローテルの工場から来たということでした。

当時の工場での製作風景

この時期、ROTELの戦略的方向性は多くの力によって形作られましたが、最も重要なのは、1970年代後半のステレオ市場での競争が激しく、音質よりも機能で販売される製品への顕著な傾向につながったことです。これはすぐに進化した属性に基づくマーケティング戦争に発展しました。メーカーは、比較リスニングで聴くことができる実際の性能向上の代わりに、疑わしい測定値や最新の蛍光棒グラフ表示によって水増しされた電力定格などに基づいて製品を販売していました。ROTELは反対の道をたどることを選びました...そして決して振り返らなかった。1979年までに、私たちはルーツに立ち返ることで、私たちの使命を慎重に定義しました。「機能」を際限なく追い求めるのではなく、音楽的な正確さ、優れたビルド品質、手頃な価格に重点を置いた飾り気のないオーディオコンポーネントの設計に焦点を当てました。この基本に立ち返った製品計画は、極東で高品質のオーディオコンポーネントを確実かつ効率的に製造してきた豊富な経験によって実現されました。これらの30年以上前のコンポーネントの多くは、現在も使用されています。

基本的なエンジニアリング作業は日本で行われましたが、重要な音響パーツの選択と最終的なチューニングは、イギリスの非常に重要なラボ施設に委託されました。1982年後半、RA-820Bはこのエンジニアリングパートナーシップから発売され、すぐに当時最も成功したROTEL統合アンプになりました。これは、優れた音響価値に対する当社の評判を確立した長い製品ラインの最初の製品であり、What Hi-Fi?雑誌や、悪名高い気難しい英国の国内マスコミから他の多くの称賛を受けています。その後、世界中のさまざまなオーディオ出版物が、ROTELコンポーネントにすべての製品カテゴリをカバーする息を呑むような数の賞を与えました。

イギリス関係者と記念撮影　1列目右から５人目が創業者立川朝樹氏　２列目右から３人目現ローテル商事株式会社進藤社長

1961年以来の卓越したオーディオ

当社の新製品開発には、回路設計の厳密なレビューと広範なリスニングセッションが含まれます。実際の性能向上を達成するのは難しく、部品と回路の設計を慎重に検討する必要があります。ROTELは、単に「新しい」ものを売るために製品を発売するわけではありません。当社の製品ライフサイクルは業界標準に比べて長く、新製品は正当なパフォーマンスの向上に基づいています。

だからこそ、熱狂的なオーディオファンやプロのレビュアーから国際的な批評家から高い評価を得ているのかもしれません。ROTELのコンポーネントは、単なるエンターテイメント以上のものを提供します。彼らは、もっと何かを望んでいる人々の共感を呼ぶ体験を提供します。音楽や映画は、適切なシステムで再生すると直感的な再生を体験できます。アーティストやディレクターが意図したもの以上のものを期待すべきではありません。60年以上にわたる電子機器製造の経験が、オーディオ/ビデオの楽しみのために貢献している事実を聴いて確認してみてください。

重要なパーツ

オーディオコンポーネントの心臓部は電源であり、トランスの種類、サイズ、材質が大きな役割を果たします。そこで、大切なパーツであるトランスに何か問題を残すことはしたくなかったのです。ROTELがお金を投資し、独自のトロイダルトランスを構築するノウハウを開発した理由です。優れた電源がなければ、設計の残りの部分で望ましい性能を発揮することはできません。

Rotel Transformer Manufacturing Process (youtube.com)オリジナルトロイダルトランスの製作風景

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自社製トロイダルトランスのコア製作風景

(693) Rotel Transformer Manufacturing Process - YouTubeオリジナルトロイダルトランスの製作風景その2

ローテル社製トロイダルトランス製作風景2

ご存知の方でしたら、自社でトランスを作るということの凄さをご理解できると思います。

当社のエンジニアは、各新モデルの電力要件を慎重に評価します。この情報は変圧器エンジニアリングチームに伝達され、変圧器は電圧、電流、物理的なサイズ、製品タイプなどの要件を計算します。次に、これらのエンジニアは変圧器の正確な仕様を設計し、変圧器を設計し、テスト用のサンプルを巻くプロセスを開始します。

各変圧器は、最も厳しい規格に準拠した材料を使用して、厳格な規格に合わせてカスタムビルドされています。変圧器の金属巻線材料は、鋼に不純物がないことを確認するために厳密にチェックされます。ROTEL変圧器に使用されるワイヤは、銅材料の認定文書を作成する信頼できるサプライヤーから供給されています。各トランスコアは、製造、ベーキング、巻線、およびストレステストが実施されており、最適なオーディオ性能を得るために各コンポーネントが必要とするすべてのクリーンで歪みのない電力が電源で供給されることを確認します。

妥協のないサウンドは、CDプレーヤー、サラウンドサウンドプロセッサ、プリアンプ、パワーアンプのいずれであっても、常に電源から始まります。

バランスの取れたデザインコンセプト

コンポーネントの目標は単純です。それはあなたを感動させる音楽的または映画的なオーディオ体験を提供する必要があります。人間の感情をスペックシートにとらえる方法はありませんが、それを聞けば確かにわかります。私たちは、物理学、電子工学、機械工学の規律ある統合を通じて、感情的なつながりを実現しており、これを「バランス・デザイン・コンセプト」と呼んでいます。バランス設計は、部品の選択、回路トポロジー、および重要な評価を組み合わせて、個々の部品の合計を超える性能を実現します。

素晴らしいサウンドを重視する方は、正規販売店にお越しいただき、試聴を行ってください。聞くことは信じることです。それがROTELのやり方です。

オーディオエンジニアは、製品を設計する際に、資金をどのように配分するかについて多くの選択をします。「コストをかけない」エンジニアリングは、妥協を許さないことを意味します。何かに十分なお金を投じれば、模範的な製品を作る可能性がかなり高くなります。ただし、その欠点は、販売価格が高くなることであり、パフォーマンスの向上が比較的少ない場合があります(実際、非常に高価なオーディオ製品の中には、見た目は美しいかもしれませんが、まったく性能が向上しないものもあります)。

一方、「マスマーケット」デザインは、はるかに大きな消費者基盤を提供することができます。しかし、大衆市場の需要により、ユニットを安価に保つために、非常にコスト意識の高いエンジニアリングが求められています。したがって、消費者の関心を引くために、これらの製品は、パフォーマンス部品が常により高価であるため、パフォーマンス指向ではなく機能指向になる傾向があります。

ROTELはどちらの道もたどりません。

バランスの取れたデザインは、ROTELの本質的なデザイン哲学です。それが私たちの製品を他と違うものにし、より良いものにするものです。バランス設計は、物理学、電子工学、機械工学の規律ある統合であり、次の信念に導かれています。

優れたサウンドは、必ずしも高いコストではなく、情報に基づいたエンジニアリングから生まれます。
製品の他の部分のパフォーマンスを低下させる代償として、単一の設計面が強調されることはありません。

バランス設計は、部品の選択、回路トポロジー、および重要な評価という3つの主要な領域を中心に展開します。これらの側面は、最終的な音質に大きく影響し、製品開発に対する全体的なバランスデザインアプローチを示しています。

緻密な部品選定

バランス設計コンセプトの実際の例を考えてみましょう。コンデンサは、多くの品質レベルで同じ仕様で入手可能です。アンプにおけるコンデンサの重要な用途は、電源からの不要な電流リップルをフィルタリングし、最も必要なときに予備電力を提供することです。低コストの電解コンデンサは、要求される基本仕様を満たす可能性がありますが、当社のエンジニアは、劣ったコンデンサを使用すると音質に大きな悪影響があることを知っています。代わりに、当社のエンジニアは、オーディオ信号をより正確で音楽的に再生するために、電力スペクトルと周波数スペクトルの両方でより優れたパフォーマンスを提供するプレミアムコンデンサを選択します。高品質の電源コンデンサは、高速充電および放電時間でより効率的なエネルギー伝送を提供し、必要なときに回路に予備電力を確保します。

開発の各段階で、ROTELのエンジニアは回路のプロトタイプに耳を傾け、他のメーカーの特定のコンポーネントを使用したり、より厳しい公差を指定したりすることで、音響上の利点を得ることができると感じたときに設計を修正します。ROTELは独立したメーカーであるため、次の専門メーカーを含む、世界中の非常に尊敬されているサプライヤーから部品を自由に調達して要件に適合させることができます。

英国の「スリットフォイル」とT-Network電解コンデンサ。日本からのルビコン電解コンデンサ。ウェールズのLCRポリスチレンコンデンサ。英国で設計された高精度の熱および周波数安定金属皮膜抵抗器。アナログ・デバイセズ、テキサス・インスツルメンツ、および米国のBurr-Brown ICこれらは、ROTEL製品に利用されているグローバルに調達されたコンポーネントのほんの一例です。これらは、難解なブランドの多くの高価な製品が、より良いサウンドを主張する一環として強調しているのと同じ高性能部品であり、ROTELの設計によく見られます。

選ばれたパーツで組み立て中の製品

(693) Rotel Electronics factory tour - YouTube

回路位相幾何学

良い部品を使うだけでは十分ではありません。それらをどこに置くかは、それ以上ではないにしても、同じくらい重要です。そのため、回路経路をできるだけ短くしています。スプリアス放射や不要なリークによって、繊細な信号のニュアンスが損なわれる可能性が低くなります。

また、リアパネルの入力からフロントパネルの制御に信号をルーティングするのではなく、より高価な「オンボード」リレーソーススイッチングを使用することが多いのもそのためです。また、対称信号トレース設計と呼ばれるものに大きく依存しています。これにより、各チャンネルの信号経路が他のチャンネルと同一に保たれ、イメージングとサウンドステージが維持されます。また、電気的に優れた「スター」接地技術を使用して性能を向上させるのは、スター接地がすべての接地接続を1つのポイントにルーティングし、ノイズやハムを発生させる可能性のある潜在的なループを低減するためです。さらに、ROTELのクラスA/Bアンプは、制御性が低下し、その結果、音質が低下するため、出力インダクタを使用していません。

ローテル　道シリーズの完成品検査場

批判的評価

ほとんどの企業にとって、適切な部品を適切な場所に配置することは成果です。私たちはさらに重要な一歩を踏み出します。何年にもわたって、クリティカルリスニングは、経験豊富なエンジニアの手にある最も洗練された楽器と同じくらい、あるいはそれ以上に重要であることがわかりました。そのため、ROTELの開発チームは、重要なリスニングセッションを非常に重要視しています。実際、「聞く」だけでは、そのプロセスはうまく説明できません。

英国とアジアの電子および音響エンジニアは、数十年にわたる集合的な経験の過程で聴覚の鋭敏さを磨き、作業サンプルからプリプロダクションまで、製品開発の各段階を評価し、最終的に最終生産がプリプロダクションユニットと同じであることを確認しました。一部のセッションでは、コンデンサ、抵抗、トランジスタやオペアンプなどのアクティブデバイスなど、さまざまな回路要素を評価します。また、回路レイアウトの違いや電源素子による違いに着目したものもあります。このチューニングプロセスが完了し、音響性能が確認されて初めて、製品は市場に投入されます。

新製品の開発プロセスは重要であり、妥協を許しません。必要に応じて、新製品がROTELブランドを誇らしげに表現できるように、重要な側面が完成するまで大量生産を延期します。私たちは、市場で「仕上げる」ためだけに製品を時期尚早に出荷することはありません。

バランスの取れた設計の利点

バランスデザインは偶然に生まれたものではありません。ROTELのエンジニアは、何よりもまず、誇り高き親のようにデザインに努力する音楽愛好家だからです。彼らは結果に耳を傾け、新製品がチームの厳しい基準を満たすまで回路を微調整および調整します。

間違えないでください。「価格/性能比」は、常にエンジニアリング上の課題です。信頼性が高く、手頃な価格のハイエンド性能を提供するさまざまな電子部品を構築することで、多くのROTELエンジニアは早朝まで起きていました。

しかし、これが私たちの最大の強みです。簡単に言えば、ROTELは手頃な価格で高性能なステレオおよびホームシアターコンポーネントで最高の価値を提供します。バランスの取れた設計のおかげで、ROTELのコンポーネントは、多くの機能を提供するがオーディオ品質を軽視し、価格の何倍ものコンポーネントと比較しても、多くの大量生産されたオーディオ製品の性能を簡単に上回っています。

完成品の作動検査中

批評家からの賞賛

私たちは卓越性で高い評価を得ています。世界クラスのコンポーネントを毎日聴いている尊敬される批評家からの何百もの絶賛と賞を見てください。ブランド名は、これらのベテランのレビュアーにとって二の次です。オリジナルの演奏を忠実に再現することが彼らの基準です。これらの鋭い耳から寄せられた好意的なコメントは、音の正確さ、信頼性、手頃な価格というコアバリューを通じてホームエンターテインメント体験を向上させる、並外れたオーディオ性能の追求というROTELの使命の成功を長い間証明してきました。

戦略的提携

ROTELとB&Wグループのグローバルな提携関係は、1980年代初頭にさかのぼり、北米といくつかのヨーロッパ市場での独占販売の確立にまでさかのぼります。

その後の20年間で、ROTELは世界中のBowers & Wilkinsのほぼすべてのディストリビューターを当社の代表に任命しました。
2000年、B&Wグループは英国にROTEL Europeを設立し、北米以外でのROTELのポート活動を統合しました。
2006年、ROTELとBowers＆Wilkinsは、中国の珠海にある広大な製造・物流施設の共同運営を対象とする合弁事業契約を締結しました。

両ブランドは、世界クラスのオーディオ製品を最高水準で製造し、世界中の専門ハイファイディーラーの独占的かつ献身的なネットワークを維持するという強い信念を常に共有してきました。

＊現在はBowers & Wilkinsの創業者は会社を売ってしまい、経営体制が変わりました。

Bowers&Wilkins 702 S3 / Rotel RA-6000 "40 Anniversary" (youtube.com)

それでも、B&Wのリファレンスとして使用されています。

表面実装技術

品質に対する当社の取り組みは、製品を作成する研究開発段階をはるかに超えています。私たちは製造プロセス全体を通して同じ哲学に従い、すべてのROTEL工場で、独自の管理の下で、独自の設備で製造しています。

多くのオーディオブランドが自社工場を持たず、代わりにコストを節約するために契約メーカーに依存していることを知って驚かれるかもしれません。私たちはずっと前に、入荷する原材料から完成品まで、製品が厳格な品質基準を満たしていることを確認するために、すべての製品を社内で製造することを決定しました。この目的のために、製造技術に多額の投資が行われてきました。

ROTEL、最先端の表面実装技術(SMT)、フローはんだ付け装置、自動試験装置、きれいで効率的な組立ライン、そしてもちろん、一連の変圧器巻線装置があります。機器のオペレーターと生産ラインのスタッフは熟練しており、十分な訓練を受けています。彼らは、生産ラインと検査エリアで品質管理チームと手を携えて働いています。

ROTEL製造施設内では、当社のエンジニアは回路トポロジーを自由に作成し、生産の容易さや最低コストではなく、音質に基づいてコンポーネントを選択できます。この献身は、すべてのROTEL単に見たり聞いたりすることができます。私たちは、工場から出荷されるすべての製品にROTELのバッジを付けることを誇りに思っています。

表面実装技術(SMT)の詳細

ROTELのような規模の会社がSMTマシンを持つのは、そのコストを考えると珍しいことです。中小企業は通常、この生産段階をOEM化します。しかし、SMTには重要な利点があり、それが私たちが機械に投資した理由です。